大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松地方裁判所丸亀支部 昭和38年(わ)162号 判決

主文

被告人を懲役四月に処する。

ただしこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は昭和三八年一一月二一日施行の衆議院議員選挙に際し香川県第二区から立候補した加藤常太郎の選挙運動者であるが右選挙に立候補する決意を有していた右加藤に当選を得しめる目的をもつていまだ右立候補届出がないのに

第一、立住角治および長谷部作治と共謀の上同年一〇月五日善通寺市大麻町一三四七番地長谷部作治方において同選挙区の選挙人である米谷マツエら二〇余名に対し、右加藤が立候補した場合、同人に投票してもらいたいので、その投票の報酬とする趣旨のもとに、一人前二九〇円相当の酒食を饗応接待し、

第二、立住角治および田所房一と共謀の上、右同日同市同町一九〇四番地山下静一方において、前同選挙人である山下静一ら二〇余名に対し、前同趣旨のもとに、前同様の酒食を饗応接待し、

第三、立住角治および香川重徳と共謀の上、右同日同市同町一三六八番地香川重徳方において、前同選挙人である長谷隆雄ら一〇余名に対し、前同趣旨のもとに、前同様の酒食を饗応接待し、

第四、立住角治と共謀の上

(一)  右同日、同市同町一一〇四番地の二小野武雄方において前同選挙人である小野武男ら一〇余名に対し前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

(二)  右同日、同市同町西川公民館において、前同選挙人である池下康則ら一〇余名に対し、前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

(三)  右同日、同市同町一八三一番地畑茂雄方において、前同選挙人である畑茂雄ら一〇余名に対し、前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

(四)  右同日、同市同町二六六五番地大場重雄方において、前同選挙人である山内秀雄ら二〇余名に対し前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

(五)  右同日、同市同町六四一番地の一大森一雄方において、前同選挙人である大森一雄ら一〇余名に対し、前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

(六)  右同日、同市同町一四二番地中山久太郎方において、前同選挙人である川原庄助ら一〇余名に対し、前同趣旨のもとに前同様の酒食を饗応接待し、

もつて前記加藤のため、立候補届出前の選挙運動をしたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

公職選挙法第二三九条第一号第一二九条第二二一条第一項第一号刑法第六〇条第五四条第一項前段第一〇条第四五条前段第二五条

刑事訴訟法第一八一条第一項但書

よつて主文の通り判決した。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例